以下、お世話になっているブランドコンサルティングの方の記事です。
参加しやすいチャリティーを普及させることがミッションの+iikoto
にとって勉強になる記事でした。
みなさんも社会貢献・チャリティー・エシカルの高まりに触れてみてください。
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わずか8年で認知率が9割となった
ピンクリボン運動について取り上げます。
ピンクリボン運動と聞けば、
大半の方がまず「ピンク色」を思い浮かべると思います。
この「ピンクリボン運動」というフレーズを
広報活動により多く耳にしてきた私たちは、
もはや「ピンク→ピンクのリボン(シンボル)→乳がん」という
想起のプロセスが一般化されつつあるように感じます。
今回は、ピンクリボン運動成功の裏にある
ビジョンとシンボリックな活動の沿革と
次なるステップとして直面する課題について
考えていきたいと思います。
* * *
認知率9割!ピンクリボン活動の成功と次なる課題
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■ ピンクリボン運動を支えた「確立したビジョン」
日本でピンクリボン運動が脚光を浴びるようになったのは
「ミレニアム」という言葉が流行した2000年。
それは運動の内容というよりは、
「東京タワーをピンク色にライトアップする」という活動自体を
マスコミが取り上げたことからです。
次のカテゴリーでも触れますが、
ピンクリボン運動は「注目される広報活動」により
その記憶とともに運動も意識されるという
マーケティングの観点から見てもクローズアップされる事例です。
この認知度向上を支えたものこそ
確立した「ビジョン」でした。
ピンクリボン運動は当初9社が集まりスタート。
朝日新聞が企業団体とともに「ピンクリボンフェスティバル」を
運営することが出発でした。
この9社がまず取り組んだのはビジョンづくり。
具体的に伝えるものが何かを徹底して討議しました。
そして生まれたのが
「乳がんの早期発見、早期診断、早期治療の大切さを伝える」
というビジョンでした。
ライトアップや企業活動、イベント、ポスター…
すべての活動は、このビジョンに基づき展開していったのです。
■ 社会とのコミュニケーションを意識した活動の広がり
そもそも「乳がん」とは、病名であり
25人に1人が罹るといわれ、年間約1万人が死亡しています。
こうした情報をダイレクトに伝えて注意を喚起することも、
広報では有効な手法の一つです。
しかしピンクリボン運動は、早期発見と早期診断をビジョンに掲げており、
まずは乳がんに関心をもち、情報を受け取りやすくする必要があることから
ポジティブなイメージ戦略をとりました。
ピンクリボンフェスティバルを開催する10月にあわせ街ののシンボルとなる施設を
ピンク色にデコレーションするライトアップ。
ピンクのバンダナとゼッケンをつけて街を歩くスマイルウォーク。
乳がんを克服した著名人や芸能人によるトークショーやシンポジウム。
さまざまな活動が女性の目を惹き、受け入れられるものでした。
さらには一般に周知するために掲示・掲載するポスターも
「ピンクリボンデザイン大賞」を実施する形でクリエイターが
協力しやすいよう広告デザインとして公募。
優れた作品は、交通広告や自治体・医療機関での配布や掲出など
情報発信力も強く、これにはクリエイターも多数参加しています。
これらピンクリボンフェスティバルの活動とともに、
各企業や団体も活動を展開し、現在の認知率9割となったのです。
■ 「誰に伝えたいか」で大きく変わるアプローチ
ピンクリボン運動を展開して8年。
乳がんに関する正しい情報が少なく、病気に対してのネガティブな
イメージや誤解があったスタート当初と比べれば、社会運動として
大きな成功を収めたといえるでしょう。
ピンクリボンの認知率9割という数字もビジョンに基づいた活動が
功を奏したものです。
その成功とともに見えてきた、次のステップ。
それは乳がん検診の受診率アップです。
実は、ピンクリボン運動の認知率は向上したものの。
乳がん検診の受診率が横ばいで推移しているのが現状です。
乳がんという病気を知り、検診が受けられることを知っていても
「乳がんにかかるかも知れない」と思う人と
「乳がんにはかからない」と思っている人がいる。
この二者に伝えるべきメッセージは「早期発見の大切さ」ですが
アプローチを変えなければ伝わりません。
この「誰に伝えるか」という点がとても重要です。
ファーストステップの成功から次のステージへ。
「いつか」は受ける検診を、「いま」受けるようにする
運動がはじまっています。
ピンクリボン運動が次なるステージでも成功を収め、
病気による不幸が一つでも少なくなることを、私は期待します。
(代表取締役 澤田且成 http://twitter.com/katsunarisawada )